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工作と音楽が趣味です

気づいて欲しいもっと なか|tricot

 こんにちは。皆様いかがお過ごしでしょうか。去年は虚無のような1年間でしたので、今年はそうならないよう頑張っていきたいです。が、今はコロナ禍で外で遊ぶこともなかなか難しく、家の中に引きこもって泣かないように自分と仲良くしています。

 

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 tricotの「なか」という曲です。「あふれる」というシングルに入っています。この曲、カップリングだったんですね……気づかなかった……

 

 素晴らしい曲です。コード感あるギターのフレーズとシンプルなドラムから始まりますが、特にドラム、2小節のフレーズの後半0.5拍「ドン、ドン」というバスドラムだけなるんです。これが引き算で気持ち良い。抜けた感じがたまりません。ドラムは全体的に控えめだけどフィルインで暴れるときもあって最高に雰囲気出してます。

 

 そして何よりベース。この曲の立役者です。1番では5小節目から入るフレーズ、動画でいうと00:34あたりから急に切り替わるフレーズ、それをオモテにしたフレーズの3つを器用に使い分けています。他の楽器の演奏に変化がなくてもベースだけせわしなく切り替わり、曲に彩りを与えています。何も考えず聴いていると気付きにくいですが、こういった地味な動きに気付けると楽しいですよね。

 このベース、急に黙ったりもします。なんとサビの入りで黙るのです。すご……ずっと支えていた低音がなくなり、浮遊感が生まれます。ほどなくしてハイフレットで伸びた感じの音を鳴らしながらまた入ってくるのです。凄すぎます。聴いてるこっちはもう空飛べそうなくらいフワフワしちゃいます。

 サビ後半の「なんでも気になる現代〜」から着地してAメロに近い演奏に戻るのですが、そこではリードギターとのユニゾンに近いリフを弾いていますね。気持ち良いです。

 2番以降はウラのフレーズが出てこなかったりサビで抜けなかったりとまた違った動きを見せます。覚えるのが大変な曲ですね。私は完璧にコピーしました。

 

 ギターも忘れてはいけません。ケレン味あるひねくれたコード進行はtricotの得意とするところですね。この曲でも遺憾なく発揮されています。結構動きがあって歌いながら弾くのはしんどそうです。tricotのGt&Vo.のなかちゃんはしれっと弾いているんです。これ決して悪口とかではないのですが、YouTubeの個人チャンネルにアップされているなかちゃんがシステムオブアダウンの楽曲を練習している動画を観ても、それほど上手な印象は受けないんですよ。でもライブでは難しいフレーズもこなすし、変拍子にもたつくこともない。不思議な人です。大好きです。

 リードギターも最高です。ベースと入れ替わるように1番の途中から入ってくるのですが、そこから最後までずっと同じ2小節のフレーズしか弾かないんです。他が何をしようと頑なに同じ。ワウを踏んだりはしているけど、ずっと同じ。この執念深さにやられちゃいます。「真っ黒」というアルバムではalbum ver.ということでギターの演奏が変わっていて、だいぶ動くようになっているのですが、私は元のバージョンが大好きです。しつこいくらい同じフレーズ。そこにセンスを感じます。

 

 歌詞も面白いんです。「ゲームの中」「胃の中」「最中」「脳卒中」と言った具合に、「なか」という言葉が所々に散りばめられています。個人的にはtricotは歌モノよりかは演奏重視のバンドというイメージがありますが、こういった遊び心溢れる歌詞も多くて魅力的です。皆さんもこの曲を聴いて、なかちゃんの心の中に潜り込んでみてください。

 

 この記事の最初の文章も「なか」という言葉をいっぱい使っていたのですが気付きましたか?