ファンクラブ月額会員歴8年の現役大学生が主観で選ぶサカナクション名曲ベスト10 前編
こんにちは。タイトルにもある通り、私は現役大学生であり、サカナクションのファンクラブの月額会員です。月額費コースであることを主張しているのは、ここ最近年会費コースに変えた方がお得だよというメールやら何やらがたくさん届くのに頑なに変更しない自分が嫌いではないからです。めんどくさいからってだけなんですけどね。
1番好きなバンドと言っても過言ではないサカナクション、好きになってから大分経ちますが、ついに自分の中でのベスト10を決めました。
1時間近く悩み、ようやく納得のいくランキングを作ることができました。
私にとって音楽というのは常に自分の側にあるもので、おそらく大体の人がそうなのですが「この曲を聴くとあのときを思い出す」なんてことが良くあるのです。
今回作ったランキングは、そのような思い出補正や曲に対する個人的な思い入れがたっぷり含まれているので、かなり偏ったものになっています。
また私はギターを弾いている人間なので、そのような視点も順位に多少影響を与えていると思います。
そもそもこのランキングは完全にただの自己満足なのですが、この記事を読んだサカナクション好きの人が「あーわかる」となってくれたり、サカナクションをよく知らない人が聴いてみようと思ってくれたりしたら嬉しいです。
なんか真面目にダラダラと書いてしまいましたが、そんな大したものでもないので気楽に見てください!
その前に、2017年にサカナクションがファンクラブ会員を対象に実施した「あなたが選ぶサカナクションの名曲」のトップ10を見てみましょう。1人3曲まで投票できました。もちろん私も投票しました。
10位…ネイティブダンサー
9位…シーラカンスと僕
8位…ミュージック
7位…夜の東側
6位…ユリイカ
5位…エンドレス
4位…三日月サンセット
3位…ナイトフィッシングイズグッド
2位…白波トップウォーター
1位…目が明く藍色
なるほど。さすがファンクラブ会員なだけあって良い曲をセレクトしていますね。しかし私が投票した3曲はこの10位までの中には含まれていませんでした。ベスト10はおろか、このランキングの最下位である40位までにすら無かった曲もあります。では私のベスト10を見てみましょう。
10位…表参道26時
私が一番好きなアルバム「kikUUiki」に収録されている曲です。サカナクションのアルバムにある、サビを女性2人が歌う曲の先駆け的な存在です。ファンクラブ会員の選んだランキングでは14位でした。
イントロからシンセとギターの絡みがあり、音自体は歪んでいるのですがそれぞれの絶妙な音の動きが綺麗なハーモニーとなっていて、非常に心地良い音に仕上がっています。ギターのディストーションと深めのリバーブが好みです。
最初から最後までスリリングな感じで進行していきますが、歌詞もまた奇妙で良いのです。
「つまりは心と心の隙間に風が吹いた 隣でそれに気が付いたあの子が黙った」
「苦笑いして 話し始めたのはなぜ 表参道の26時が過ぎてく」
一見よく意味が分からない歌詞ですが、ちゃんと考えてもよく分かりません。ボーカルの山口一郎は実体験から歌詞を書くことが多く「そんなん言われなきゃ意味分かんねえよ!」みたいな歌詞も多いです。この歌はその際たるものなのではないでしょうか。
あと、歌詞カードに載っていない「246左折 そう聞こえた 246左折」というフレーズがあるのですが、歌詞カードに載ってない歌詞ってなんだかかっこよくないですか?しかも246(にーよんろく)左折って…かっこいいなあ…
9位…ティーンエイジ
みんな大好き2ndアルバム「NIGHT FISHING」から。聴きやすい静かめな曲です。ファンの選んだベスト40ではランク外でした。ライブでもほとんどやらないのであまり有名ではないのですが、最初から最後まで付き纏うようにあるハモりがシンプルながら綺麗で好きなのです。この度数のハモりは歌詞が広がっていくようなイメージを受けるので好きです。
また、3:28からは歌のないインストのような感じでそのまま終わりまで進行していくのですが、ここの音がとにかく気持ち良くて何回も聴いてしまいます。音の数で誤魔化さないシンプルな演奏。ベースの控えめな感じがたまりません。
山口一郎がインタビューでここの部分のことを「少年がナイフを持って早歩きしているイメージ」と発言していたのを見てから聴いたら、まさにその通りの情景が頭に浮かび、山口一郎の想像力に衝撃を受けました。「早歩き」という部分がポイントです。ただ歩いているのではなく、早歩き。何かに急がされているような、焦っているような気持ちです。
そのようなイメージと「ティーンエイジ」というタイトル、歌詞などから、この曲が10代の鬱屈として晴れない気持ちを表現しているものだと考えています。明るい曲調からはかけ離れたテーマですね。
後半のインスト部分がこの曲を9位まで押し上げました。大好きな曲です。
8位…目が明く藍色
2回目のkikUUikiからのランクインです。ファンクラブ会員の選んだランキングでは1位でしたが、私は8位にセレクトしました。
7分という長さ、はっきりと3つに分かれている曲の展開などが特徴的です。予測不能な展開が面白い曲ですよね。
トレモロのかかったギターの音から始まり、ゆったりとしたテンポで進んでいくと思いきや、いきなり不穏なコーラスが入ります。
「光はライターの光 ユレテル ユレテル」
はい???
間にこの怪しげなコーラスとシンセの鳴り響く奇怪なパートを挟んでいるのですが、ここの部分が私は大好きです。サカナクションが持つ「変な歌詞に変な音、変なメロディ」の真骨頂だと思っています。最近減りましたね、これ。「『バッハの〜』」あたりがピークでした。普通に聴いていると違和感を覚えるような変な要素が、聴く人を魅了しているのだと思います。
最近減ったと書きましたが、減っただけで普通に最近でもあります。今や代表曲の新宝島の「ていねていねていね〜」とか面白いですよね。サビで丁寧なんて言葉使うか?って感じで。山口一郎はそういうワードセンス、言葉選びが本当に優れているのだなと感じます。
このパートの最後は「メガアクアイイロ」と繰り返し、最後に「メガアカイイロ」と言い放って終わります。不気味ですね。しかしそのあとまた静かになり、冒頭と同じような弾き語りになります。これも突然のことなので、初めて聴いたときは何がなんだか分からなかったです。
そして曲のラストは壮大に、バンドアンサンブルを全面に押し出し、力強い歌唱でフィナーレを迎えます。
「君の声を聞かせてよ ずっと ずっと」
「君の声を聞く 息を吸って 吸って」
シンプルながらいい歌詞です。
「君の声を聞く 息を吸って」の部分は、「聞く息」とアルバムのタイトルである「kikUUiki(汽空域)」と繋がっています。ニクいですね。
最後の方に聞こえる大きい声は、山口一郎が「ここっ!」と言っている声らしいです。メンバーに入りのタイミングを教える声とは思えない、怒鳴り声のような声からレコーディングの大変さが伺えます。
また、この曲は構想から完成までに9年を要した曲であり、大変な難産だったようです。アルバムリリースギリギリまで完成しなかったとか。
これらのような様々な要因が私にこの曲を大好きにさせています。
「君の声を聞かせて」なんていきものがかりが歌ってそうな歌詞ですが、じょいふるとは全く意味合いの異なる「君の声を聞かせて」なのでしょう。
この曲はkikUUikiのリードトラックであり、アルバムを締めくくる最後の曲でもあります。最後にふさわしい壮大な曲で、まさにkikUUikiを代表するものとなっているのです。
やはり強く印象に残る曲ですし、ライブでも良く披露されるので、ファンクラブ会員投票のランキングで1位になるのも納得できます。
MVです。ステキ。
7位…アンタレスと針
5thアルバム「DocumentaLy」からランクインです。地味な曲なのですがめちゃくちゃ好きです。
ファン投票ではランク外でした。
アルバムでは5曲目で、イントロ→アイデンティティ→モノクロトウキョー→ルーキーという、ライブでも定番の人気曲が続く流れから落ちるようにこの曲が入ります。
明らかに元気な曲とはかけ離れている暗いベースから始まり、単音の短いフレーズが繰り返されるシンプルなギター、シンセとドラムが後から順に入ってきます。
タイトルの「アンタレス」を含め、3つの星の名前が出てきます。
「スコーピオ」はさそり座のことで、さそり座の形の針の部分を担っているのが「シャウラ」です。「アンタレス」は、さそり座の一等星のことです。
「その輝きは二番目」というのは、恐らくシャウラがアンタレスに劣る明るさであることを示していますが、同時に「控えめでいいだろう」と肯定しています。控えめでいいんです。
山口一郎は確かにさそり座の星のことを歌っていますが、さっき書いた3つの星(星座)、全て釣りの道具の名称なのです。
ファンの間では多分そこからインスピレーションを受けたのではないか、と考えられています。
とにかく曲の雰囲気と歌詞がうまくマッチしていて、スッと耳に馴染んでくる感じが私は好きなのです。
一番が終わると間奏に入るのですが、この間奏、サカナクション屈指の長さです。1分以上あります。イントロと同じシンプルなギターがずっと鳴っている中、それ以外の楽器が増えたり減ったりを繰り返します。途中にあるシンセの「ブーーーーン」みたいな低音が気持ち良いです。長いけれどもここだけでもいくつか展開があるため、飽きない間奏になっています。とにかくシンセの音がタイプです。シンセサイザーの無限の可能性を感じました。
前にどこかで山口一郎が「今までは長すぎず短すぎない、丁度良い長さで間奏を作っていたけど、『アンタレスと針』に関してはあんま考えないでやった。これでいいんだと思った。」的な発言をしていた気がします。それでいいんです!
6位…黄色い車
6位は3rdアルバム「シンシロ」からです。ファンクラブ会員の皆様は37位にセレクトしていました。
「アンタレスと針」に続いてこの曲もベースイントロです。ベースから始まるのかっこいいですよね。しかもこのフレーズ本当にお洒落でかっこいいんです。草刈り姐さん天才!この世に存在するベースのフレーズの中でベスト5に入るくらい好きです。1位はMuseのHysteriaです。関係ないですね。
イントロでベースと同時にドラムのカウントのような音が鳴っているのですが、イヤホンで聞くとどこか別の場所で鳴っているような感じで、聴き慣れていないと えっ?てなります。このときから立体音響に取り憑かれていたのでしょうか。
繰り返されるベースのフレーズとシンプルなドラム(ハイハットのタイミングが堪らない!)を基礎に、コードをかき鳴らすアコギ、トレモロがかかったギターのアルペジオ、左右にパンされたシンセの音が響きます。それぞれが絶妙に絡み合って心地よいグルーヴが生み出されています。サカナクションはゴチャゴチャしてる曲が少なくて、意図的にそうしている部分もあるけれど、情報量の少なさが聴きやすくて好きです。初期中期は特にそれが顕著で大好きです。
「黄色い車 実は今の話には続きがあるけど
今のところ それを君に話そうとは思っていないんだ」
黄色い車とは??
黄色い車が何のことかは当然言及されません。歌詞に2回出てくるのみです。そもそも「黄色い車」というタイトル、なんとなく違和感覚えますよね。なんじゃそりゃって。そこがいいんです。
曲の構成は、Aメロ→Bメロ→サビ→ソロ→サビ となっています。2番が存在しないのに4分近くあるのは、間奏やソロ、アウトロが長めだからです。
2番がないのはサカナクションでは珍しいことではないのですが、この曲は珍しく本当にただ2番がないだけで、ほかに大サビやCメロがあるわけでもないシンプルな構成です。それだけにストレートに歌詞やメロディが入ってきます。
サビでは「君の季節が 夢のごとく 夢のごとく色づく頃 僕はどこかで つらつら揺れる つらつら揺れているでしょう」と歌われます。
ほんとに揺れてんの?なんて思ってしまいそうですが、そこは気にしません。
この曲に限った話ではないのですが、山口一郎は珍しい、あまり歌詞になっているのを見ない言葉を歌に入れることが多いです。「つらつら」という言葉、サカナクションの曲ではよく見かけますが、なかなかありませんよね。
私はもう聴き慣れてしまっているので違和感が無かったのですが、お風呂でこの曲を熱唱していたところ母親に指摘され「確かに」と感じました。山口一郎のワードセンスには脱帽です。これ2回目ですね。
5000字を軽く超えてしまいました。思ったより長くなりそうなのでこの辺にしておきます。続きます。